ある日、たんこぶができた。
最初は小かったし、大して気にして無かった。
1ヶ月、2ヶ月と日が経つにつれ、
たんこぶは大きくなった。
いい加減うっとおしくなったので、
たんこぶを処理しようと決意した。
まぁ、生憎普通のリーマンだし、
人に頼める金は持ち合わせていない。
自分でやるしかなさそうだ。
ある日、1人で処理を済ませた。
血まみれにはなったが、
どうにか成功したようだ。
これですっきりした。
そう思ったのもつかの間、
今度は壁がそびえ立った。
神様は乗り越えられる試練しか与えないって言うしな。
この壁、どう乗り越えようか…。
【解説】
『ある日、たんこぶができた。
最初は小かったし、大して気にして無かった』
目の上の『たんこぶ』として、
有能な新入社員が入社した。
『1ヶ月、2ヶ月と日が経つにつれ、
たんこぶは大きくなった』
日が経つにつれ『たんこぶ』が大きくなる、
つまり、有能な新入社員が力をつけていった。
『いい加減うっとおしくなったので、
たんこぶを処理しようと決意した。
まぁ、生憎普通のリーマンだし、
人に頼める金は持ち合わせていない。
自分でやるしかなさそうだ』
それがいい加減うざくなったものの、
殺し屋を雇うほどのお金はないため、
自分の手で殺した。
『壁』は刑務所の中に入ったことを表している。
その『壁』を乗り越えようとしている、
つまり脱獄を企てている。
淡々と当たり前のようにこなしている語り手が恐ろしい…。