俺は今、2次元空間にいる。
ここは楽でいい。
作者はハッピーエンドにするつもりらしいから、
俺はただ書かれるままに動く。
だけど、仲間ができて、愛する人ができて、
やっとの思いで結ばれたのに…、
気付いてしまった。
そんな!やめてくれ!
そんな、待って…
ハッピーエンドなんて…
俺はハッピーエンドに抵抗することもできずに、
物語は終えられた。
【解説】
ここでいうハッピーエンドは
ハッピーな終わりではなく、
ハッピーが終わるものだった。
語り手はあくまでも小説の登場人物のため、
作者が書くようにしかならない。
小説の登場人物ということは、
物語が終わってしまえば
何もすることができない。
立て直すことはもちろん、
立ち直ることさえできない。
やっと掴んだ幸せが壊され、
絶望したまま物語が終わってしまったため、
語り手はずっと絶望したままとなってしまう。