俺は妻を殺した。
動揺のあまり、
長年の親友に電話して泣きついてしまった。
親友は仰天してすぐ家に飛んできてくれた。
こときれた妻を見て、親友は
「どうしてこんなことを?」
と聞いてきた。
だから俺は必死で説明した。
「俺は悪くないんだ。
俺を裏切ったのは妻なんだ。
こいつは結婚前、
あんなに俺を好きだ好きだと言っていたんだ。
だから俺はこいつと結婚したし、
家も車もこいつが望むまま買ってやったんだ。
俺は本当に幸せだった。
それなのにこいつは、俺を裏切った。
新しい男に夢中になって、俺をないがしろにして。
俺が稼いだ金で生活してるくせに俺のことを小馬鹿にして、
いつも別の男と一緒にいたんだ。
俺は悪くない。そうだろう」
親友は額を抑え、首を振った。
「新しい男っていうのは…
ここにいる、この…」
【解説】
新しい男というのは「息子」のこと。
妻からすると
「妻からすれば夫の子を産んで育てているだけ」
であったのに殺されてしまった。
実際に
「出産後の妻が自分をかまってくれなくなったから」
なんていう理由で殺したという事件もある。
嫉妬というのは恐ろしいものである。