私は中学生だ。
今は夏休み。
今日は久しぶりに田舎のおじさんの家に泊まりにきた。
おじさんはとても優しくていい人。
結婚もしていなく、
いい人も見つからないというおじさんを
私はずっと不思議におもっていた。
家からおじさんの家はとても遠い。
ついたころにはもう夜だった。
おじさんと食事をしてお風呂にも入らせてもらった。
もう寝よう。
そう思っておじさんに布団をだしてもらおうとしたのだが、
リビングの電気はもう消えていて、
寝室から寝息が聞こえてきた。
私がお風呂に入っている間に寝てしまったのだろう。
私はおじさんに声をかけることをしないで二階へ上がった。
二階へ上がってみると
階段から一番奥にある部屋が目についた。
こんな部屋あったっけ?
そう思いながら部屋を開ける。
すると若い男女が私の目の前にいた。
男は女を殴っていた。
何度も何度も。
女はいつのまにかぐったりして
男は女に唾をはいた。
私は気を失った。
目を覚ませば若い男女はいなかった。
あれは幻覚だったということは確実だった。
でも…
私はその年の夏休み、
人の過去は知らない方が幸せなこともあるのだと知った。
【解説】
おじさんは女性を殺した過去を持っている。
そして、語り手にはそれが見えてしまった。
人を殺した過去を知ってしまうと恐怖が出てしまうが、
知らなければ恐怖も出てこない。
だから、人の過去は知らない方が幸せなこともある。
…語り手がおじさんの手にかかることはないと信じたいものですね…。