飲み会が終わり、
帰りが遅くなってしまった私は終電に飛び乗った。
"あ~間に合ってよかった"
お金もないのに、
タクシーで帰るはめになるのはごめんだ。
運よく座席も空いていて、
そこに腰掛けた私は、ほろ酔いなのもあり、
すぐにうとうとし始めた。
その後しばらくして
肩をとんとんと叩かれ目を覚ました。
気がつくと
私は隣に座っていた男の人にもたれるように寝てしまっていたのだ。
「あっ、すみません!!」
すぐに謝ると
「大丈夫ですよ」
とにっこり微笑んでくれた。
「降りなくていいの?」
と指をさされ駅名を見るとちょうど最寄駅だった。
あわてて席を立ち扉が閉まるギリギリですり抜けた。
せっかく終電に間に合ったのに
寝過ごしたらもともこもない。
"あ~危なかった!
やっぱり酔ってる時に終電は一人で乗るもんじゃないな"
そんな事を思いながら自宅へ帰った。
【解説】
男性はなぜ語り手が降りる駅を知っていたのだろうか…?
いつも同じ電車に乗っていたのならまだしも、
飲み会の帰りでたまたま乗った終電である。
ストーカーか…?
もしくは実はどこかで会ったことのある人だったのかもしれないが、
「なんで私が降りる駅を知っていたの?」
と思ったら、止まらず、
確認する術もないので
そうなった時が恐怖である。