なんなんだ!?こいつらは。
おれはパニックに陥っていた。
急に知らないところに連れてこられたと思ったら、
狭い場所に閉じ込められた。
そのくせに、あいつらはおれを捕まえようとする。
あいつらは網のようなものでおれを捕まえようとしていた。
あいつらの手に捕まってはいけないのだとおれの本能がいう。
おれは必死で逃げる。
だが、あいつらはしつこく追ってくる。
しかし何より恐ろしいのは、
おれを捕まえようとするあいつらが、
とても楽しそうに笑っていることだ。
まるで悪意などこれっぽっちもないのだというように。
おれはついにあいつらの手に捕まってしまった。
その瞬間、おれは呼吸ができなくなった。
息ができない。苦しい!
しかし、すぐに楽になる。
だが、おれの未来は明るくはないだろう。
下を見ると、仲間たちがあいつらの手から逃げまどっていた…。
一週間後、おれはもっと狭い場所で死んだ。
【解説】
語り手は金魚すくいで救われた金魚。
『おれは呼吸ができなくなった』
自ら引き上げられたため
息ができなくなった。
『しかし、すぐに楽になる』
金魚をすくっているお椀、もしくは
金魚すくいのおじさん(おばさん?)に
水入りの袋に入れてもらったから。
『一週間後、おれはもっと狭い場所で死んだ』
金魚すくいの金魚は環境が変わったストレスとか
色々あって死にやすいんだろうけど、
きちんと世話をしない人も多い。
それで一週間で死んでしまった。
それが一番こわいところではないだろうか…