『ナースさんよぉ、
隣の奴どうにかしてくれねーか?
足が痛い足が痛いって、
昨日の夜からずっとだぜ。
おかげで全然眠れやしねぇ』
私『分かりました。
ちょっと待ってて下さいね』
私は隣のベッドのカーテンを開けた。
私『どうかしましたかぁ?』
『足が痛いんです。
でも、首が固定されていて
足の具合が分からないんです。
自分の足、そんなに酷いケガなんでしょうか?』
私はその患者さんの足元に目をやり、
足をさすってあげるフリをしてあげた。
『ああ、大分楽になった気がします。
ありがとう』
たまにいるのよね、
こんな患者さん。
【解説】
『足をさすってあげるフリをしてあげた』
患者の足はすでに切断されており、
さする部分がなかったので『フリ』をした。
しかし、患者は足が見えないため、
足が切断されているとは思っておらず、
足をさすってもらった『フリ』をしてもらっただけで落ち着いた。
患者は実際は存在しないはずの足が
そこに存在するかのように感じており、
そのことについてナースは
『たまにいるのよね、
こんな患者さん』
と言っている。