1976年2月、
荒川のある病院に入院していた清水某という男が
「右腕がかゆい」と看護婦に訴えた。
看護婦は困惑した。
清水は建設現場での事故で右腕を失くしていたからだ。
主治医は「脳の混乱」と考え、彼を納得させるため、
「見ていて下さい」とメスで『右腕がある場所」を刺して見せた。
すると次の瞬間、何もない空間から血が噴き出したという。
病気や事故などで手や足を切断した人が、
失った手や足が存在するように感じる「幻肢」と呼ばれるものがある。
幻肢によって痛みを感じることもあれば、
今回のようにかゆくなることもあるようだ。
しかし、今回は本当に幻肢だったのだろうか?
本来右腕がある場所にメスを刺したら
血が噴き出してしまっている。
『建設現場での事故で右腕を失くしていたからだ』
とあることから、これは確実なのだろう。
なので、腕がないように見せているわけでもない。
となると、なぜ…?と疑問になってしまうのだが、
これに関しては結論が出ないだろう。
ただ、この物語で怖いと思ってしまうところは、
患者さんを納得させるために
『メスで右腕がある部分を指した』
ということである。
納得させるためとはいえ、
メスという危険なもので刺して見せるのはやめてほしい。
いくら何もない空間だからといって、
もっと安全なもので試して欲しいものである。
こんな乱暴な見せ方をする医者に治療してもらうのは
正直怖いところがある…