ある日ふと旅に出ようと思い立ち
たどり着いた田舎町でのこと。
ふらふらと町を散策していると
踏み切りの向こう側の少し離れた場所に
人が集まっているのが見えた。
何かあったのだろうかと
人だかりを気にしながら踏み切りを渡ろうとすると
皆カメラを構えてこちらに向けてきた。
「ああ、撮り鉄ってやつか。
ニヤニヤしやがって気持ち悪いな。」
と思いながら踏み切りを渡ると
直後に電車が通過していった。
すると人だかりの方から舌打ちが聞こえたので見てみると
皆ガッカリした様子でこっちを見てる。
ごめんな。
俺がいたせいでうまく撮れなかったんだろうけど
悪気はないんだ。
勘弁してくれ・・・
【解説】
電車が来ることがわからない踏切とは
危険すぎる場所である…
そういう場所もあるのかもしれないが、
この『撮り鉄』と思われる人たちが
誰かが轢かれる瞬間を撮影するために
踏切を故障させていたと思われる。
だから語り手が踏切を渡ろうとしてからカメラを構えてきたし、
語り手は電車にも気が付かなかったのだろう。
こういうことをしているのが
一人ではなく、複数人だからこそ
さらに怖い…