息子が誘拐された。
「警察に知らせたら殺す」
と言う決まり文句で始まり、
多額の現金を要求された。
とてもそんな金は無い。
俺は懇願した。
せめて、せめて分割にしてくれ、と。
犯人は躊躇っていたが、
説得のかいがあり承知してくれた。
【解説】
身代金を分割払いにしてもらった代わりに
誘拐された息子の返還も分割になり、
手足を切断されて返される。
ただ、
『犯人は躊躇っていた』
というのが気になるところ。
『せめて、せめて分割にしてくれ』
という語り手の言葉はもしかしたら、
「息子を殺すならせめて分割にしてくれ」
という意味だったかもしれない。
…ただそれだとしたら
誘拐犯としては殺し損となって、
無駄な労力を使うだけなので
説得に応じるメリットがない。
お金を分割で払う代わりに
息子を少しずつバラバラにしてくれ、
ということだったら…
この語り手は最初から息子を殺す気だったのではないか?
なんて目でこの話を読んでしまった…