少女は11歳だったが、病死した。
家族も友人も近所の人も皆悲しんで葬式に出た。
14歳の兄が少女の部屋へ行くと、
机の一番上の引き出しの奥に日記帳が入っていた。
日記の最後のページは、
少女が死んだ日の前日のものだった。
日記にはこう書かれていた。
例えば私の一番好きな食べ物がイチゴであるように、
例を挙げればきりが無いけど、誰にも好き嫌いはあるんだと思うの。
咲く花も散る花もでもみんなとてもきれい。
ろくでもない花なんて絶対にないと思う。
子供だって大人だってみんな花のようなものなの。
人間はみんな花な
んだとつくづくそう思う・・・。
さあ私も花なんだからきっと散る日もくるんだと思うけどそれまでは精一杯生きよう。
新しいことを始めたい。
かわいくなりたい。
大人になってみたい・・・。
兄は妹の日記を読んで泣いた。
【解説】
妹の日記の
行の最初の一文字目を下から縦読みする。
(漢字の場合は読み方の一文字目のみ)
そうすると、
「おかあさんにころされた」
となる。
妹はお母さんに何か混ぜられたものを食べさせられたりしていたのだろうか?
ただ、なぜ過去形で書かれているのだろうか?
前日に書かれたものであれば、
過去形になっているのはおかしい。
病死になっているが、
実際はお母さんの手で殺された?
そして、妹にはこの日に殺されることがわかっていた?
もしくは…幽霊となってから
この日記と書いた、ということだろうか。