冥界につながる電話ボックスがある。
山奥の斜面に近い国道の道路で、
車が方向転換するときに必要な余分な土地がある。
そこに電話ボックスがあるのだが、
何故こんなところに立てたのかが一層不気味さを漂わせる。
俺は、仲間数人とその電話ボックスに付いた。
噂では、自分の死んだ会いたい人を心の中で念じながら、
10円を入れ、4、3(黄泉)とかけると
冥界とつながり、その人と話せるらしいのだ。
仲間内でじゃんけんで負けた俺は、
早速ボックスの中に入った。
外で仲間がにやにやしている。
俺は死んだおじいちゃんを頭に浮かべながら、
10円を入れ、4,3とボタンを押し、受話器を耳にやった。
「・・・・・・・・・・・・・」
数分たってもなにもかからない。
内心、ほっとしながら、ボックスから出ようとしたら、
にやにやしていた仲間の姿が見当たらない。
「ち、あいつら、俺を驚かそうとしてるんだな」
と思いながら出た。
ん、なんか不思議な感覚を覚えた。
【解説】
『冥界とつながり、その人と話せるらしいのだ』
とあるが、
これは電話ボックス内の電話で話せるわけではなく、
電話ボックス内の人間を冥界へと転送し、
冥界の人と話すことができるものだったのだろう。
そのため、語り手は電話ボックスから出ると
『なんか不思議な感覚を覚えた』と言っている。
果たして、冥界にはどんな者がいるのだろうか…