ひき逃げにあって入院してたんだけど、やっと退院できた。
仲の良かった友達が家に遊びに来た。
「病院にお見舞いにいけなくてごめんな」
「気にしないでよ」
「犯人の顔見たのか?」
「いや~、いきなりだったから覚えてないんだ」
「そうか」
「お前も気をつけろよ」
「あぁ、じゃあそろそろ帰るわ。今度はちゃんとお見舞いに行くからな」
「ありがとう」
【解説】
友達が遊びに来たのは
「犯人の顔を見たのかどうかを確認するため」
であった。
普通ひき逃げとなると確認するのは
車種やナンバーではないだろうか?
顔を確認しても覚えていられるはずもないし、
覚えていたとしても伝える術がない。
(似顔絵を描いてもらうことになる?)
にも関わらず友達が
『犯人の顔見たのか?』
と確認した理由は、
友達が犯人であるためで、
仲の良かった顔であれば、
確実に覚えられているからである。
さらに仲の良かった友達が
『今度はちゃんとお見舞いに行くからな』
と『今度は』と言っている。
語り手がまた入院することを知っているような口ぶりである。
友達はまたひき逃げなりなんなり、
何かしらの行動に出て、
また語り手を入院させるつもりだろう。
しかし、お見舞いに行く、と言っていることから、
この友達は即死させるつもりはないようだ。
じわじわと苦しめていくつもりなのだろうか…?