ある一人の男が盗みを働いた。大富豪の家で貴金属や宝石などを。
ところが手に入れた品をどこで換金しようか迷っているときに
車に轢かれそうになっている子供を見つけて
気がついたときには無意識に体が動いて子供を突き飛ばしていたが・・・・・。
「おじちゃん!おじちゃん!」
子供が泣いている。
『ああ、俺死んだんだな・・・・・』
そこに誰かの声が。
「お前は悪いことをしたがいいこともした、
そこで地獄に行くのは帳消しにして
生まれ変わりやり直すことを・・・・」
「俺でもやり直せる」
男は泣いた。
「よかったな、これでお前もお兄ちゃんだな」
「うん!あの時おじちゃんが助けてくれたおかげだよ」
「あらお隣の『ペス』もなのね」
「いっぱい兄弟ができたからにぎやかだな」
「神様・・・」
「仕方ないな、強盗をしたことは事実なんだから
おまえ自身の目的は後もう少し我慢しなさい」
【解説】
『そこで地獄に行くのは帳消しにして生まれ変わりやり直すことを・・・・』
神様は生まれ変わらせることを言ったが、
”人間に”とは言っていない。
隣の家の『ペス』の弟に生まれ変わった。
『ペス』は名前からして犬だろうか…∪・ω・∪
『おまえ自身の目的は後もう少し我慢しなさい』
という神様の言葉があるが、これは一体何だろうか?
『目的』とは?
また盗みを働くこと?
子供を守り続けること?
隣の家の犬として生まれ変わったのであれば、
子供を守ることもまた難しいだろう。
せめて、この子供の家の犬であれば…。
それにしても、人間だった頃の記憶を持ったまま、
犬にされたのであれば、それは一種の地獄だと思うのだが気のせいだろうか。