およそ1000~1100年ぐらい前の時代だろうか。
「この世の者とは思えぬほどの美貌」を持ってある姫君が誕生した。
人々は賞賛の声を送り求婚者も相次いだ。
姫の両親はこの美しさと若さが失われることを恐れ自らの命を犠牲に
彼女が永遠に「そのまま」でいられるようにまじないをかけて不老不死にした。
しかし彼女は両親の行いを心底恨んでいる。
【解説】
『およそ1000~1100年ぐらい前の時代』
となると、平安時代だろう。
そして、この姫君は、
『彼女が永遠に「そのまま」でいられるよう』
と、平安時代から全く変わらない美人像のまま、
死ぬこともなく過ごすことになる。
しかし、平安時代の美人像と現代の美人像は
異なっている部分がある。
平安時代は細目が美人の象徴とされているらしいが、
現代は逆になっていないだろうか?
『彼女は両親の行いを心底恨んでいる』
死ぬこともできない身体にされたから、
ということもあると思うが、
平安時代で称賛されていた『美人』のままなため、
現代では不毛な扱いを受けているのかもしれない。
『この世の者とは思えぬほどの美貌』
と称賛しかされていなかったからこそ、
チヤホヤされない現代では、
生きている心地がしないほど辛いものなのだろう。