街が一望できる小高い丘からぼんやりと景色を見ていた。
結構大きな木々も生い茂り、真夏の日差しも、ここでは涼しく感じる。
こっちがびっくりするくらい小鳥達が俺のすぐ側まで来て囀っている。
ここは最後の楽園なのかと思っちゃうくらい、ここはのんびりとした雰囲気だ。
(もっと早くにこの場所を知っていたらなぁ・・)
なんて考えてみたり。
すると、遠くの方から子供達の楽しそうな声が近づいてきた。
この丘を目指して遠足にでも来ているのだろうか。
(ここは意外と知られた場所なのか?)
少し残念な気持ちになりながらも、近づいてくる子供達の話し声に耳を傾けていた。
子供らは地面に落ちている革靴を見つけ、わいわいと何か喋ってる。
『あっ・・・』
急に一人の子供がこっちを見上げ、指を指した。
(はぁ・・これでこの絶景ともお別れか)
さっきまで俺の目玉をツツイてた小鳥達も、いつの間にやら消えていた。
【解説】
『さっきまで俺の目玉をツツイてた小鳥達も、いつの間にやら消えていた。』
目玉を突かれていたのに絶景が見えるということは、
語り手はすでに死んでいる。
きっと死んでから絶景だということに気づいたのだろう。
『(はぁ・・これでこの絶景ともお別れか)』
これは遺体が回収されてしまうため、
この場所から離れなければならない、ということだろう。
革靴が落ちていた、
絶景が眺められる、
見上げるような場所、
これらから語り手は首つり自殺をしたと思われる。
死んでしまってから絶景に気づいた、
と解釈したが、実際人は死んでしまってから
周りの風景なんて見ることができるのだろうか?
それは…自分自身が体験してみないとわからないこと…。