ピッ...ピッ...ピッ...
シュコー...シュコー
あーうるさい、この音気になってちっとも眠れない。
そんなに毎日寝てられるわけないじゃない。
背中痒い・・・
何時になったら学校いけるんだろう、退屈で死んじゃいそう!
「ユキコちゃんおはよー」
おか~さあ~ん、背中痒いよ~
「今日ね、お庭で綺麗なお花が咲いてたから持ってきたの、綺麗でしょー」
花なんかどうでもいいよ~、早く学校いきたい!
「お母さん、おはようございます」
「あ、先生、おはようございます」
「お母さん、先日の話考えていただけましたか?」
「えぇ、主人とも相談したんですけど、この子の体で人の命が救えるのならこの子も喜んでくれるでしょう・・・」
「ご理解ありがとうございます。幸いユキコさんは頭部以外に損傷がありません。
きっと多くの方の命を救うことができますよ。早速ですがこちらの承諾書にサインをお願いします」
ちょっとお母さん!先生と何話てるの?ねーおかーさん!
あーもう!なんで声が出ないの!なんで体が動かないの!
おかーさんってば!
【解説】
『幸いユキコさんは頭部以外に損傷がありません。』
医者側は脳死と判断したが、
実際には意識、思考が残っている。
『背中痒い』
ということは感覚まで残っているため、
生きたまま解剖され臓器を提供することになる。
脳死と判断された場合は麻酔は使用するのだろうか…?
おそらくしないと思われるため、
苦痛に満ちたまま亡くなってしまうだろう。
医者の誤診なのか、それとも狙って行ったことなのか。
どちらにしても、もしかしたらこのようなことは
現実に起こったとしてもおかしくはないだろう。