脳死が確認され、
無数のチューブと人工呼吸器や点滴により生き続けた。
しかし死んでしまった。
「すみません。手を尽くしたのですが」
医者はとても悲しげな顔で告げる。
彼の亡き骸を抱いた時、とても軽く、苦しかったんだと思った。
「治療費は結構です」
決して裕福とは言えない私の状況を察し、
なんて優しい医者なのだろう。私はすぐに泣いた。
「遺体を見るのは辛いでしょう」
お医者さんがシーツを被せた。
「思い出は彼と共に焼いて忘れなさい」
この一言で私は立ち直れたのである。
【解説】
彼の亡骸はとても軽かったとあるが、なぜ軽くなっていたのだろう?
それは医者が臓器を抜き取って売却したからである。
治療費は臓器売買による収入で回収できるだろう。
「遺体を見るのはつらいでしょう」と遺体を見られたくない様であり、遺体は火葬することを勧めている。
何か見られては不都合な事実(手術痕)でもあるのだろうか?
臓器の重さを調べてみたところ40歳以上の男性の平均で、脳(1275.5g)心臓(342g)、左肺(404.2g)、右肺(474.2g)、肝臓(920.3g)、左腎(120.8g)、右腎(113.6g)、脾臓(80.7g)、甲状腺(13.5g)、左副腎(5.6g)、右副腎(5.1)であるらしい。
臓器移植でメジャーそうなもの(詳しくは分からないが、心臓、肺、肝臓、腎臓あたりか……)を合計してみたところ2375.1g≒2.4kgとなった。
また、術中に出血等もあるはずである。
これも詳しくは分からないので、500g(献血より少し多い程度、おそらく実際より少なめ)の血液が各臓器の摘出ごとに失われるとする。
すると、2000g=2kgとなる。
よって、臓器と血液を合わせて4.4kgとなり、体を抱えてわからない重さでは決してないだろう。