朝礼が始まった。
「創業80年目の今年、我が社はオール電化住宅の販売に取り組み昨今の不況のあおりを跳ね退けましょうね」
この社長なかなかのやり手で、見た目温厚、性格は物腰柔らかくお茶目な所もあるけど、一代で財を築いてきた立派な叩き上げ。
侮れない。
そろそろ引退して旅に行きたいとか言ってるけども、何だかんだで今月3件も契約取ってるし。
まぁ比べて俺なんか3ヶ月0件・・・ため息ばかりだ。
そう言えば、昨日社長が言ってたのって今日の朝礼への伏線だったのかw
「一昨日皆さんの自宅に手紙を送らせてもらいました。
ちょっと照れくさくて口では言えないので・・・まぁ色々ありますが。
これからも私をよろしくお願いしますね」
全社員に届いたのは、押し花のついた立派な封筒。中には和紙の便箋が一枚で、そこには読みづらいが達筆だと分かる一文
(住まいは電子にです)
大げさだけど洒落た演出と朝礼後には大好評w社長俺らはずっと着いてきますよ!
【解説】
『住まいは電子にです』
読みづらいが達筆。
日本語として読みづらいという理由もあるが、
これは元々平仮名で書いてあったのであって、
語り手が勝手に頭の中で漢字に変換したのだろう。
それっぽく聞こえるようにするために。
実際は平仮名で書いてあったとしたら、
「すまいはでんしにです」
そして、和紙に達筆と言う事はおそらく毛筆。
となると右から左へ読む。
「すでにしんではいます」
「既に死んではいます」
つまり会社は既に死んでいる。
この会社は既に事実上の倒産してしまっている。
※『左から右へ読む』と間違えて記載していることを
ご指摘いただいたので、『右から左へ読む』に修正いたしました。