A「最近、変な夢見るんだよねぇ。
昔、酷い別れ方した外科医の女がいてさ。
そいつが女吸血鬼になって俺を襲って来んだよ。
最初見たのは4日前でさ。
優しく抱き合うのかと思ったら、
首の後ろの右の方をガブリって。
ビックリだよ。」
B「ただの夢なんだろ?」
A「ああ。でもさ、次の日も見たんだよ。
その女が今度は首の前の右の方をガブリって。
で、あまりにも生々しかったから朝起きて鏡見たら、
ホクロみたいなのが2つ出来てんだよ。
で、おとといは首の前の左の方をガブリって。
で、同じようにホクロみたいのが2つ。
ほらっ、これだよ。分かる?」
B「ああ。4つのホクロが一列に並んでんじゃん。」
A「だろ?でさ、ほらっ、なんか、痣みたいの出来てんじゃん。
これ、右が『リ』で、左が『ト』に見えないか?」
B「まあ、見えなくはないけど。で、昨日も見たのか?」
A「ああ。昨日は、首の後ろの左の方をガブリだよ。
ホクロ出来てるかもな。ちょっと見てくれよ。」
B「おお、首の後ろも4つのホクロが一列に並んでるよ。
痣もあるよ。え~と、左が『ル』で、右が『キ』かな。」
【解説】
首の右後ろ⇒首の右前⇒首の左前⇒首の左後ろの順で読むと
「キリトル」となる。
首の周りの8つのホクロに沿って切り取られてしまう?
直接手を下されているわけでもなさそうだから
これは呪いの類だろうか?
それとも外科医の女はすでに死んでいて、
幽霊として殺そうとしている?
どちらの理由にせよ、
語り手の首はいずれ落ちてしまいそうである…