【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】海藻

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いい年をしてぶらぶらと遊び呆け、

 

多額の借金をこしらえた男がいた。

 

年老いた母親が八方頭を下げて男の借金を返してやり、

 

男は母親に連れられて実家へ帰ることになった。

 

ところが二人が乗り込んだフェリーは岸を離れたところで座礁して沈没し、

 

男と母親を含めた乗客たちは真っ暗な夜の海へと投げ出された。

 

水面に上がろうともがく男の足には、海藻が何度も絡みつき、

 

男はその度に水中深く引き込まれそうになった。

 

男は海藻を蹴りほどきながら、命からがら海岸まで泳ぎ着いた。

 

翌朝、浜辺には水死したフェリーの乗客の死体が多数打ち上げられた。

 

その中には、恨めしげな顔を浮かべた男の母親の死体もあった。

 

男は震えながら、傍で合掌していた地元の老人に尋ねた。

 

「じいさん、このあたりの海は海藻が多いんだろ?」

 

しかし、老人は首を振って答えた。

 

「いいや。石ころばっかりで、海藻なんか一本も生えてねえ海だよ」

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『石ころばっかりで、海藻なんか一本も生えてねえ海だよ』

つまり、男が海藻だと思っていたものは、

「人の手」であった。

 

さらに、

『恨めしげな顔を浮かべた男の母親の死体もあった』

と"恨めしげな顔"である。

 

おそらく男に絡みついていた「人の手」は

母親であった。

 

『年老いた母親が八方頭を下げて男の借金を返してやり、

男は母親に連れられて実家へ帰ることになった』

と、散々男に迷惑をかけられた挙句、

最終的には見捨てられてしまった母親。

 

むしろ、蹴りほどかれているので、

「男に意図的に殺された」

と、母親は思い、

『恨めしげな顔』をしていたのかもしれない。

 

母親の気持ちを考えると、

正直いたたまれない話である…