私と妹のミドリは一卵性双生児です。
ミドリは活発で誰からも愛される、
とっても素敵な自慢の妹です。
私はというと…
根暗で友達もいない、冴えない女です。
ママはミドリの事を凄くすごーく可愛がります。
新しいお洋服にきらきらの小物類。
私には一度も買ってなんかくれないのに…
それどころか、
私の事をあたかもいないかのように扱います。
ご飯は妹がわざと残してくれた僅かなものだけ。
お風呂も、水がもったいないから、
と週に一度しか入れてもらえません。
私の口癖はいつしか、
「ミドリはいいな～」
ーーーある日ーーー
普段入ってはいけないと言われているママの部屋で、
ミドリがママの本を物色していた。
私はまたママにぶたれるのが嫌で黙っていました。
「あっ!!」
と、ミドリが突然騒ぎました。
どうしたのかと覗いてみると、
ママの大事なPCに水が滴っていました。
どうやら横に置いてあった花瓶を倒したみたい。
どうしたらいいか分からず
部屋をうろうろするミドリ。
するとピタッっ動きを止め、
数秒考えた後何かを思い付いたらしく、
にやっとしてママの部屋出てそのまま玄関に行き、
お出かけしていきました。
（ミドリが怒られちゃう！）
そう思って私はミドリの後を追ったけど、
とっくにいなくなっていました。
私は近くの公園でミドリが帰ってくるのを待っていました。
（もうママが帰ってきてるのに）
すると、鼻歌混じりにミドリがかえってきました。
お姉ちゃん！
ーーママが帰ってきてるから、さっきのこと早く謝っちゃいなよ！
えー！お姉ちゃんみたいにぶたれるのは嫌っ！！
ーー…わかった！私にいい考えがあるの。
それをすればママに怒られない？
ーー私は怒られ慣れてるもん。多分大丈夫だと思う！
提案を受け入れたミドリを先に家に帰し、
私は時間差で帰る為公園で待つことにしました。
どさっ
急に大きな何かが空から降ってきました。
ミドリ……
【解説】
語り手は自分とミドリの服を交換し、
ミドリに扮した語り手がミドリの代わりに謝ってあげると提案した。
快諾したミドリを先に家に帰して、
語り手は公園で待機。
その頃ママは、
パソコンの参上に気づき、
これはお姉ちゃん（語り手）の仕業に間違いない、と激高した。
そこに語り手に扮したミドリが帰ってきて、
怒り狂ったママはミドリと気づかず、窓から突き落としてしまった。
語り手はここまで計算していたのだろうか？
最後の『ミドリ……』という言葉だけ見ると、
そこまで考えていなかったようにも思える。
一度だけでいいから、
ママに可愛がられたかっただけなのかもしれない。
それがこんな結末に…
