東南アジアか!
と突っ込みたくなるスコールが止んだ夕方、
私は愛車で家路についていた。
燃えるような朱い夕焼けが綺麗だった。
美しい夕日を右手に臨みながら、
私は十字路にかかり、左折した。
そこで、ソレに目を奪われた。
いや、心まで奪われた。
奪われてしまった私は、
そのまま、路肩の電信柱に追突してしまった。
衝撃から先は驚くほどゆっくりと時間が流れた。
延ばされた時間、
薄れる意識の中、
ああ…私はあの橋を渡るのだろう。
と思うと、安らかな気持ちになれた。
【解説】
語り手が目を奪われたのは「虹」。
虹が出ていると
よそ見をしながら運転する人が結構いるけど、
とても危険なこと。