「それでそれで?」
「勿論、断ったよ~」
「えーっ!?何で!?勿体無い」
「だって明らかにタらしじゃんー」
「けど今時IT企業の社長で20代なんていないわよ!?」
「いくら金持ちで地位が高くても、
タらしじゃ結婚は無理よ~」
「はぁ?まぢで勿体無いー」
「なによ美佳。お母さんかあんた」
「だって勿体無いでしょー。
日奈子は一生結婚出来ないよ!!」
「んな事ないって。
私の運命の王子様はすぐ近くにいるはずよ」
「日奈子の王子様は、
IT企業の社長さんだったのよ!全く」
「はいはい」
「あっ、もうこんな時間!真の迎えに行かなきゃ」
「あら本当だ、今日はありがとうね美佳」
「こちらこそ楽しかったわ」
「それとこれ!真君にあげて!」
「あらー?これは何?」
「手作りクッキームード味は保証出来ない」
「ありがとう!!真喜ぶわ!」
「なら良いけど」
「じゃあまたね~」
「うん、またね」
そう言って美佳は部屋を出て行った。
美佳は私と中学からの親友。
高校も一緒で、とても仲が良かった。
学生の頃は何でも私の方が上だった。
だから当然、
結婚だって出産だって私の方が先にすると思っていた。
けど、現実は違った。
美佳は私が高校時代に付き合っていた聡君と結婚して、
出産した。
私が聡君と結婚して、
出産だってすると思っていたのに…。
絶対に私が先に幸せになると思っていたのに。
…許せない。
いつしかそんな感情がわいてくるようになった。
いつだって私が一番じゃなきゃいけないのに…。
けど、 今日やっとそれを行動に移す時がきた。
【美佳、あなたの聡君との幸せの結晶。
壊したらどうなるかな。】
真君は、
ちゃんとクッキー食べてくれたかしら?
【解説】
聡と美佳との間に出来た男の子が真。
クッキーには毒が入っており、
日奈子(語り手)は
二人の幸せの結晶である真を
殺そうとしている。
恋愛によって友情に亀裂が入ると
復讐に走ってしまうから
嫉妬というのは恐ろしい…