風景写真撮ってる友人が訪ねてきた。
この間の休みに撮りに行ってきたらしく、
土産と写真を持ってきた。
写真はなんか画素数がすげー高いやつで、
A4なんだけどかなり緻密な写真だった。
「おおー、すげーな、よく撮れてんじゃん」
「まーな。あ、でもさ、この写真、すごいぞ?」
そういって彼が示したのはどこかの農村風景で、
たくさんの人が田植えをやっていた。
「…?のどかでいいな。
いまどき人力で村人総出でやってるんだね」
「ちげーんだな。いい笑顔だろ?」
「…??
ああ。みんなこっち見て笑ってるな。
記念写真とか?」
「んなわけねーよ。
俺、そのとき超望遠で山の向こうからたまたま村を撮ったんだ。
だから少し鳥瞰図みたいになってるだろ?」
【解説】
遠くから写真を撮っているから
写真を撮られているなんてわかるはずがないのに
みんな視線をカメラに向けて笑っている。
日常的に見える写真でも
その背景を知るだけで
一気に恐怖が襲ってくる…。