俺は、ここからの景色が好きだ。
まさに絶景なのだが、ただ1つ難点が…
それは、崖になっていて、
大柄な俺でさえ、来るのは大変だった事…
ここ、ちゃんと綺麗にしたら
絶対人がたくさん来るだろうな~。
そんな事を考えつつカメラを取り出し、
写真を撮っていく。
「フフフ」
「うわ!!」
後ろから不意に聞こえた笑い声に驚く。
「驚かせましたか?」
綺麗な女性だ…
小柄でスタイルも良い。
黒髪のロングヘアーが可愛らしい。
「いゃ、ぁ、えっと、、いきなりだったもので…つい…」
「それはスミマセンでした…ここ良い風景ですよね」
「絶景ってやつですね(笑)」
「もう降りられるんですか?」
「え?はい。そのつもりです」
「良かったら、一緒に居てくれませんか?一人は寂しいので…」
「ええ、勿論。良いですよ」
答えてからスグに気がついて、私は後悔した。
【解説】
絶景にたどり着くのは
大柄の語り手でさえ大変だったこと。
にも関わらず、
この女性は平然とこの絶景にたどり着いている。
この女性は何者なのかはわからない。
しかし、
語り手が後悔していることから
『もう降りられるんですか?』
という言葉は、帰ることを意味しているわけではなく、
崖から降りる、つまり自殺のことを意味していたのだろう。
女性は幽霊だったのか、
はたまた自殺の片道切符だから
気合でこの絶景にたどり着くことができたのか。
女性が何者なのかはわからないが、
語り手は崖から飛び降りることに付き合わされてしまったのだろう。