【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】洞窟

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その洞窟は異世界に繋がっているという。

 

異世界なんて言葉を信じた訳ではないが、
その言葉はタカシの探究心を駆り立てた。

 

タカシは万全の装備で洞窟に足を踏み入れた。

 

一時間は歩いただろうか、
洞窟の中はすっかり光を失い、
タカシの持つ懐中電灯だけが唯一の道標となっていた。

 

すると突然、
『おい』と掠れた声がし、
驚いたタカシは慌てて懐中電灯を向けた。

 

目を凝らすと
そこにいたのは不精髭を生やした小柄な男であった。

 

タカシは安堵し、

 

『あなたも洞窟を探りにきたのですか?』

 

と話しかけた。

 

男はしばらく沈黙した後

 

『あぁ』

 

とだけ答え、

 

『だがもう戻ろうと思うんだが、
出口がわからなくなってしまった。
どう行ったら外に出られるか教えてくれないか』

 

と続けた。

 

タカシは来た道を説明し、
あと30分も歩けば明かりが見えてくるだろう、
と伝え男と別れた。

 

更に歩き続け、
洞窟内の暑さに耐えきれなくなってきた頃、
静まり返った洞窟内を響かせる足音にタカシは耳を澄ませた。

 

足音は徐々に近づき
やがてタカシの懐中電灯の明かりの届くところまできた。

 

タカシは足音の主に光を当てた。

 

主は眩しそうに顔を手で覆ったかと思うと、
勢いよくタカシに近づき
キラリと光るものを喉元に突きつけた。

 

ガラスの破片か何かであろうそれは、
タカシの喉に食い込んでいた。

 

何が起きているのか理解できないながらも、
男の声はしっかりと耳に入った。

 

『服を脱げ!
それから持っているものを全てここに置いていけ!』

 

タカシは恐怖から何度も首を縦に振った。

 

そうしてシャツと下着だけになったタカシは
灯りも食糧もなくし途方に暮れた。

 

もう勘のみでは戻れないとわかっている。

 

進むしかない。

 

手探りでゆっくりと歩みを進めて行くと、
また一人の男に出会った。

 

タカシは助けを乞う為
男に話しかけた。

 

『すみません、
出口がわからなくなってしまって。。
ご存知でしたら教えてください』

 

男はしばらく考えた後、
ニヤリと笑い、

 

『いいですよ。ただし条件があります』

 

といって頭ほどの大きさの缶を手渡した。

 

『それはセメントです。
この洞窟は危険だ。
外に出たら出口をそれで塞いでください』

 

タカシは頷いた。

 

タカシ自身危険な目にも会ったし、
出れないかもしれない恐怖を味わった。

 

ここは興味本位で入ってはいけない場所だ。

 

『出口はここを真っ直ぐ行って、
二股を右に行くと、
上から綱が垂れ下がっているところがあります。
それをよじ登れば出れますよ』

 

タカシは男に感謝し別れると、
言われたとおりに進み綱を見つける事が出来た。

 

缶の取手を片手にかけ、
力を振り絞ってよじ登った。

 

綱の先には板のようなもので蓋をされていたが、
片手で簡単にズラす事ができた。

 

タカシは眩し過ぎる光に包まれながら必死で這い上がると、
そこは学校の校庭のような場所だった。

 

疲れた体にムチ打って、
タカシは約束通り出口にセメントを塗った。

 

ゆっくり周りを見回し遠くに水道を見つけると、
声も出せない程乾ききっている自分に気づく。

 

タカシは重い体を引きずるように、
ゆっくりと水道に向かって行った。

 

その頃周りではピーッという笛の音が至る所から聞こえていたのだが、
もはやタカシの耳には届いていなかった。

 

やっとの思いで蛇口を捻り喉を潤すと、
自分の周りに人だかりができている事に気づく。

 

顔をあげたタカシは、
制服姿の男たちを見て一瞬なにがおきているのかわからなかったが、
すぐさま全てを理解した。

 

洞窟の男たちがなぜ、
みな同じような服で、
なぜ探検するわりにあんなに軽装だったのか。

 

洞窟は異世界に繋がっていたのだ。

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この洞窟は刑務所と繋がっており、

洞窟内で会った男たちは脱獄犯だった。

 

異世界というのは

通常の世界とはかけ離れた世界ということ。

 

 

語り手がこの洞窟内でひどい目にあったのも恐ろしいが、

こんなに脱獄犯がいることも恐ろしい…。