お腹を痛めて産んだかわいい我が子達…。
いろいろあったけど、
よく頑張ってここまで来たね。
生まれるまではあれやこれやと手がかかって大変だったけども、
我が子達のためなら何だってやってこれた。
そして目の前にいる我が子達はもう、一人前の大人になった。
愛しい我が子へ社会へ旅立つはなむけに、
母ちゃんがたくさんごちそうを振る舞ってあげよう。
みんな笑顔でおいしそうに食べているね…
何か体のあちこちが激痛を感じてきたけどかまわない…。
かわいい我が子…
もう会えないのは寂しくなるけど、
頑張って見届けるよ…。
見届けたいけど…
肝心の目が激痛と同時に…
痛い…痛い…
だんだんだんだんかわいい我が子の顔が
おぼろげになっていく…。
最後の力を振り絞って、
我が子達に美味しいごちそうをきちんと振る舞わなきゃ…。
あぁ痛い痛い痛い…。
もう何も見えなくなった…
我が子達はそれぞれの道を、
たしかに自分の足でしっかり踏みしめて歩いていった。
みんなハサミを持って…。
【解説】
我が子に自分の体を食わせる昆虫の話。
カマキリが有名だけど、
ここではハサミムシ。
子が親を食べるのって恐ろしいと感じてしまうけど、
こういう昆虫の世界では当たり前の世界という…。