お母さん、かなしい顔をしないで。
謝らなくていいよ。
私は大丈夫だよ。
苦しまないで。
私の辛さ、痛みなんて
お母さんの苦しみや葛藤に比べたら何でもなかったよ。
お父さんもいなくてずっと一人で育ててくれて、
大変だったんだよね。
私を見たくないときだってあったでしょ。
大丈夫。
もうこれからお母さんは苦しまなくていいんだよ。
全ての元凶である私はいなくなるから。
泣かないで。
お母さんが泣いちゃうと私もかなしくなっちゃうよ。
でもね、まったく会わないのはさびしいから、
一年に一度だけは会いに来ていいかな。
そのときは喜んでくれるとうれしいな。
【解説】
母親一人で娘を育てていたためか、
精神的に弱くなってしまい、
自分の感情をコントロールできなくなってしまった。
そのため、母親は娘を虐待してしまうものの、
本音としては虐待したくないと思っている母親の気持ちを汲み取った娘のお話。
『一年に一度だけは会いに来ていいかな』
これはすごく良いセリフなんだけど、
実際に出てきたら母親は
「私のことが憎いから出てきたのね…」
なんて思ってしまいそう…。
気持ちのすれ違いというのは
恐ろしいものである…。