【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】記憶喪失

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私は幼い頃、
小さな町の片隅で倒れているところを
義父によって発見された。

 

義父いわく、
私が身に着けていたものは
薄い布きれと不思議な形をしたネックレスのみで、
今にも凍えて死んでしまいそうだったという。

 

それからというもの、
義父は私を実の娘のように愛し育ててくれた。

 

そして、なぜなのかはわからないが、
私は義父に拾われるまでの記憶が抜けている。

 

いわゆる記憶喪失というものだ。

 

次第に私は自分の両親がどういう人物だったのか、
なんで私を捨てたのか、
確かめたいと思うようになっていった。

 

20歳になったとき、
私は義父を病気で亡くした。

 

とても悲しかったが、
それまでのことを思うと
義父には感謝の気持ちでいっぱいだった。

 

それから私は、
実の両親を探す旅に出た。

 

色んな街や国を見て回ったが、
結局両親の手がかりはつかめなかった。

 

実の両親を探し始めて、
もう60年になる。

 

私はもうよぼよぼのおばあさんで、
これ以上旅を続けられそうにない。

 

最後に行きついたこの村で生涯を全うしそうだ。

 

どこか懐かしい雰囲気の村で、
私の死に場所にはちょうどいいかもしれない。

 

私がベンチに腰をかけていると、
5歳くらいの少女がやってきた。

 

少女「おばあちゃん、この村の人?
違うよね?どうしてこの村にきたの?」

 

私は答えた。

 

私「おばあちゃんね、
自分のお父さんとお母さんを探して
ずっと色んなところを旅してきたの。
一度も会ったことないんだけどね。
会いたくて会いたくて、
必死にここまで歩いてきたわ。
だけどもう疲れちゃった。
これだけ探しても見つからないんだから、
きっともう会えないわね」

 

そういうと少女は驚いた顔をして言った。

 

少女「本当?
私のお父さんとお母さんもね、
私が生まれてすぐ、
事故で死んじゃったんだって。
だから私ね。
自分でタイムマシン作ってるんだ。
完成したら、それで過去に戻って、
お父さんとお母さんに会いに行くの。
お父さんとお母さん、
大きくなった私に会ったらなんて言うかな。
まだあまり大きくないけどね」

 

本気でそう言って微笑む少女の瞳が、
過去の自分と重なって泣きそうになった。

 

私は自分が拾われたときから身に着けていた不思議な形のネックレスを、
少女にプレゼントした。

 

少女はとても喜んで家に帰っていった。

 

馬鹿なお願いかもしれないけど、
どうかあの少女の夢が叶いますように。

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

語り手=少女

 

両親が事故にあった後、

語り手(おばあちゃん)と出会い、

ネックレスをもらう。

 

そして、

タイムマシンで過去に行く。

 

その歳に記憶を失い、

義父に拾われた。

 

義父が亡くなったあとは旅に出て、

おばあちゃんとなり、

最後に行き着いた場所が故郷だった。

 

そこで少女と出会い…

 

ループが発生する。

 

 

サラッと当たり前のように書かれているけれど

少女がタイムマシンを作り、

それが成功していることがすごすぎる。

 

このネックレスは一体どこからきたのか?

というのも恐い要素の一つかな。