近所の丁字路に、
不思議な街灯が一つある。
朝だろうと昼だろうと夜だろうと、
その街灯だけは明かりが灯ったままなのだ。
近くの住民はみんなその事に気付いているけれど、
特に迷惑になるわけでもないし放置されている。
ある夜、
その丁字路が見えてきた時、
異変に気付いた。
その街灯が、
今にも切れそうに明滅しているのだ。
きっと中の電球が寿命なのだろう。
ずっと点いたままなのだから
無理もないか。
適当な話の種くらいに、
その事を隣を歩く友人に話す。
だが、
友人にはしっかり灯って見えると言うのだ。
おかしいな。
見間違いなはずはない。
今だって、
チカチカと消え入りそうに点滅しているじゃないか。
その街灯を注視しながら、
T字路に差し掛かった。
【解説】
この街灯は見るものの
「命の光」を示している。
その「命の光」が点滅しているように見えている語り手は
死期が近いということ。
語り手はこの後T字路で
車に轢かれるなどで
死んでしまうだろう…