【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】母の虐待

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「お姉ちゃん、お母さんが怖いよ」

 

「大丈夫、私が守ってあげる」

 

私はそう言ってアザだらけの妹を抱きしめた。

 

私たち姉妹は母に虐待を受けていた。

 

父が死んで以来、
母は精神的に病んでしまい、
自分が誰なのかすら理解できていないようだった。

 


そんなある日、
学校から帰ると
廊下に何かを引きずったような赤黒い跡。

 

と、ほんの一瞬、
何かが視界の隅をよぎる。

 

赤い液体の滴る袋を引きずりながら、
廊下の角を曲がっていく女。

 

あの青い花柄のワンピースは…母だ。

 

間違いない。

 

袋の中身は…いやそんなはずはない。

 

赤黒い跡を追い掛けてみると
タンスの前で途切れていた。

 

母の姿は見えない。

 

意を決してタンスを開くと
そこには袋があった。

 

…恐る恐る袋を開けて愕然とした。

 

袋には夥しい数のぬいぐるみが詰まっているだけだった。

 

「そうなんです。
私には妹なんていなかったんだ。
そうなんですね?先生」

 

「はい、そうです。
だが、あなたはまだ気づいていないことがある。」

 

私は混乱し、
うつむいて青い花柄のワンピースのすそをぎゅっと握った。

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『母は精神的に病んでしまい、
自分が誰なのかすら理解できていないようだった』

姉だと思われていた語り手こそが「母」であった。

 

妹と思っていたのは娘であり、

虐待していたのも語り手である。

 

『あの青い花柄のワンピースは…母だ』

『うつむいて青い花柄のワンピースのすそをぎゅっと握った』

とあることからも、

「母」と語り手が同一人物であるとわかる。

 

『あなたはまだ気づいていないことがある』

語り手は妹がいないということまではわかったものの、

自分が「母」であることに気がついていない。

 

 

「母」だと気がついていないのであれば、

妹もただの幻で「娘」だと気がついていないようにも思える。

 

妹(娘)が幻だと思っていたとすれば、

どんどん悪化していっているような…