彼があの世界に生まれた日…
すなわち誕生日に
わたしは花束を彼に送った。
彼は喜ぶだろうか。
すると彼はニコリと微笑み
私を抱きしめた。
私の誕生日は
彼の誕生日の次の日だ。
【解説】
『あの世界』とは「死後の世界」のこと。
つまり、
『彼があの世界に生まれた日…』
というのは、
彼が死んで「死後の世界」に生まれた日。
語り手は彼が死んだ日に献花したら
その夜、日付が変わってから
彼に死後の世界に引きずり込まれ、
死んでしまった。
そのため、
語り手は「死後の世界」では
彼の誕生日の次の日となった。
愛する人に死後の世界に引きずり込まれるというのは
嬉しいと思うことなのだろうか…
当然人によるだろうが、
この語り手がどう思ったのか気になるところである。
ただ、『あの世界』と
どんな世界かはわからないが、
何かしらの世界が続いているようなので、
その世界で一緒にいられるのなら、
幸せな気持ちでいれる…と言えるのかもしれない