俺は事故で手首から先を失った。
しかし、無いはずの左手が無性に痛い。
痛くて痛くてしょうがない。
担当の医師に相談してみた。
担当医「それは、幻肢痛と言われるものですね。
最も有効な治療法は、このような鏡の箱を使う方法です。
右手を鏡の右側に差し込み、左手を反対側に入れると、
脳が勝手に、鏡に映った右手を左手だと錯覚するんです。
この状態で右手を動かすと、鏡の中の手も動くために、
脳は、左手が自由に動いていると勘違いするんです。
これにより精神が安定します。
ミラーセラピーという有名な治療法です。」
丁寧な説明に吐き気がした。最低の医者だ。
【解説】
語り手は左手だけでなく、
右手も失っている。
もちろん担当医はそれをわかっていながら
嫌がらせでわざとやっている。
・・・ただ、この医者は
ただマニュアル通りに事を進めたのかもしれない。
とりあえず、幻肢痛であれば
これは説明はしておかないといけないだろう・・・と。
そうなると嫌がらせとかではなく、
「マニュアルどおりにとりあえず説明してみた」
ということになる。
受け手からすれば
嫌がらせにしか思えないのだが・・・
マニュアル通りに行うことは
漏れも少なくなるため非常に効果的ではあるが、
「それは明らかに行う必要ないでしょ!」
ということはさすがに行わないでほしい。
・・・と、自己判断で行う必要がないと思って省くと
それが大事なことだったりするので難しいものである。