友人はいい年して変な趣味がある。
「おっ!ここにもあった!」
それは木々に止まっているセミの抜け殻収集だ。
「お前いい年してガキじゃないんだからさ・・・。」
「お前には男のロマンが分からんのか?
まぁ男の癖に肌ツヤツヤさせている男には分からんだろうがな」
「分かるか!」
全く、抜け殻のどこがいいって言うんだよ!
こっちは抜け殻で苦労しているんだぞ!
だいぶたまっちまったな・・・。
黒いゴミ袋は使用できないし、
町で決められているゴミ袋じゃ半透明でばれちまうし。
いっそ燃やしちまうか?
それじゃ臭いが・・・
なんで自分のものなのにこれで苦労しなきゃならんのか・・・・。
【解説】
語り手が処理に困っているのは
セミの抜け殻ではなく、
自らが脱皮した時に発生した抜け殻。
『男の癖に肌ツヤツヤさせている』のは、
脱皮しているためと思われる。
人間が脱皮するということはないため、
おそらくこの語り手は人間ではない。
(無理やり考えると日焼け?)
人間の形をした抜け殻なんて見られたら、
語り手が人間ではないとばれてしまう。
・・・しかし、その脱皮したものを細かくすれば
なんだかわからないものになるから
それで問題ないと思うのだが、
この抜け殻は硬いのだろうか?
何はともあれ、
人ではないであろう語り手は
人の生活に混じろうと努力しているため、
問題を起こすことはなさそうである。
今後もばれずに生活してほしい。