去年の夏の話です。
夕刊配達のバイトをしていました。
地理も覚えるし、マンションの郵便受けからは
その人その人の生活感が解ってけっこう面白かった。
いつものように古いアパートを駆け上がり、
テンポ良く一部屋一部屋郵便受けにスパスパと入れていき、
たまにチラシが貯まっている部屋は無理矢理ねじ込んだりする。
しかし最後の部屋に夕刊を入れるとつっかえて夕刊がポトっと落ちた、
チラシがたくさん詰まっている様ではなかったから
「あれ?」
と思いながらもちゃんと入れようと郵便受けを指で押し開いたついでに、
なんとなく気になったので見てみたら
目があった…
今でも鮮明に覚えていることは、
郵便受けのあの四角い細い窓から人が覗いていて、
黒目はなく真っ白な白目だった・・・
【解説】
白目ということは、住人はすでに亡くなっていて
ドアに頭を突っ込んで亡くなっていたのだろうか?
でも、頭を突っ込んでいる状態だったら、
郵便受けは開かないだろうし、
仮に開いたとしても目なんて見えない気がする…
となると、精神薬を飲んでいた人が、
郵便受けから語り手、もしくは他の何かを見ていた?
精神薬を飲んでいると、
白目を剥いてしまう症状が出たりするらしい。
(特定の薬なのかどうかはわからないが)
白目を剥かれると語り手みたいに
鮮明に覚えてしまうほどの恐怖があったりするが、
それが精神薬によって出てしまう症状であるというのが、
正直怖いのだが…