【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】妄想

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見えるもの全て 見えないもの全て
聞こえるもの全て 聞こえないもの全て 
迫っているのだ 赤い光が私を見下ろしている
窓を誰かが 激しく叩く

 

上から?下から?隣から?どうすればいい?
窮屈に感じる服 全ての隙間を閉じて 朝を待って

 

目の届かない暗がりから 視線 視線 視線
息が出来なくて 苦しくてたまらない
階下で誰かが親を殺すんだ
ほら 悲鳴がしたでしょう?

 

誰かが階段を昇って 一段 一段 一段
大丈夫 扉の前に バリケード
誰にも開けられない

 

突然背後が気になって 振り返る
激しく叩かれる窓 いつ割られる?防げない?

 

赤い光が私を見ている 全て知ってる?
くそっ!シネっ!

 

引き抜いて 消してしまえ

 

冷えた指先 うるさすぎる鼓動
薬を飲んで 毛布にくるまる
せめて温まってと

 

きっと頭がおかしいんだ 誰が 誰が 誰が
消したはずの赤い光が 鋭い叫びが
窓の向こうで 狂ったように

 

何度も叩かれる扉 窓
出てこい 殺される?嘘だ 嘘だ 嘘だ

 

大丈夫 ここにいれば
私は守られている 大丈夫 大丈夫 大丈夫

 

全て偽物なんだ ウソなんだ
私をみている私

 

きっと誰もいない 誰も 誰も 誰も

 

窓を叩くのは 激しい雨
襲っているのはいつもの幻聴 

 

ほら 身体も温まってきた このまま眠れるよ

 

赤い光が私を包んでいる
大丈夫 私は守られている

 

目を閉じて 開いた時には
もうきっと 美しい朝が待っている

 

ゆっくりと 意識を手放して
妄想に 殺される前に

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

強迫観念による幻覚症状で、

薬は精神安定剤なのか、

 

はたまた、

 

薬が覚せい剤で、

その禁断症状による幻覚なのか…

 

どちらにせよ、

精神状態が普通ではない語り手。

 

最初に消した赤い光は

テレビの電源の光。

 

語り手は

日常の些細なことでも

恐怖を感じてしまう。

 

そんな語り手は

精神的に病んでしまって自室にこもり、

誰も入れないようにバリケードを設置している。

 

そんな中、

外には赤い光と鋭い叫びが存在し、

窓を叩かれている。

 

そして、

赤い光が語り手を包み、

身体も温まってきたと。

 

つまり、語り手は

自室で火事を起こし、

外の人たちは消防隊員や語り手を心配している人たち、

さらには野次馬である。

 

語り手を助けようと

階段を昇っている人がいるが

語り手のバリケードによって中に入れない。

 

語り手は

『妄想に 殺される前に』

と言っているが、

妄想に殺される前に

現実の火事によって殺されてしまうだろう。

 

 

火事による恐怖を感じないだけ、

良かったのだろうか…?