買い物から帰ってアパートのドアを開けた時、
何か違和感が有るのには気付いてたんだわ。
まぁその時は深刻に考えないで、
気合い入れて掃除しようと思った辺りで腹が鳴った。
時計が見にくかったから服で拭いたら結構いい時間でやんの。
時間感覚無くなるってこういうことだな。
とりあえず食事しようと思ったんだけど、
案の定出しっぱなしだった野菜とかは腐ってるし、
料理をしようにも流しを片付けないとならないからそれも面倒くさい。
つーか部屋臭くて生活出来るレベルじゃないしな。
金無いけど久しぶりに外食かなぁなんて考えて
外に出る時に違和感の正体に気付いたよ。
靴片付けないと駄目だわ。
【解説】
『案の定出しっぱなしだった野菜とかは腐ってるし』
買い物から帰ってきたはずなのに、
なぜか野菜が出しっぱなし。
そして、野菜が腐るということは、
そこそこ長い時間買い物に行っていたのだろう。
『案の定』ということなので、
野菜が腐っていても仕方がないという感じ。
なぜ、野菜を出しっぱなしにしていたのだろうか?
きっと、冷蔵庫の中に死体を入れておいたから、
野菜が入らなかったのだろう。
『気合い入れて掃除しよう』
というのは、殺した形跡を消すための掃除。
『流しを片付けないとならない』
というのは、おそらく流しで死体を切断して、
冷蔵庫に入れていたから。
『部屋臭くて生活出来るレベルじゃないしな』
と言っていることから、
死体の臭いがものすごいのだろう。
『時計が見にくかったから服で拭いたら』
というのは、殺すときに飛び散った血で
見にくくなったのだと思うが、
それを服で拭いたら痕跡が残るのでは…?
と思ってしまうが、特に何も考えていなかったように思う。
違和感の正体は、
殺したという痕跡を消そうと思っていたから、
靴があったことに無意識に「あれ?」と思ったのだろう。
殺した相手が同居した相手でないのであれば、
普段は靴はないだろうし、
違和感を感じてもおかしくはない。
なので、語り手は殺人犯、ということなのだが、
血を拭ったと思われる服はちゃんと着替えたのだろうか?
着替えていないのであれば、
そのまま御用になる可能性も…