「た・・・・大変です!妻が妻がーーーー!」
夫の悲痛な叫びで救急車がやってきた、
そして警察のパトカーも。
妻が自分の寝室で手首を切って事切れていた。
「何であなた方は寝室が別なんですか?」
刑事の言葉に夫は
自分のせいで家庭内別居に等しい生活になってしまった
と泣きながら言った。
それ以上理由は聞かず、
自殺の現場に行って見るとベッドの脇のスタンド置き場に
買ったばかりの小説が置いてあり、奥付を見ると初版本だった、
ページの端っこが小さく折られている。
「ここは鑑識に任すか」
刑事はそういって部屋を出た。
【解説】
買ったばかりの小説のページの端っこを折っているということは、
その小説の続きを見るつもりだった、ということになる。
つまり、死ぬつもりなんてなく、
別居状態に等しい生活になっていた夫が、
妻を自殺に見せかけて殺した。
…という流れになると予想して、
妻が買ったばかりの小説というトラップを仕掛けて、
自殺したのであれば…それはそれで怖いのだが…