お向かいの女の子の所に浴衣が届いた。
花柄の浴衣。
「でもおかしいな」
「何が?」
「私、これ頼んでないんですけど」
「誰かからのプレゼントじゃないの?」
「いいえ」
送り主は不明。
ただあの花柄に違和感を覚えた。
夏祭りの日、あの子は洋服だった
「何か、着る気が起きなくて・・・・」
あの浴衣はちょうど三日前に行われていた
リサイクル市で出してしまったそうだ。
夏祭りの帰り、事件が起こった。
どこかのバカが帰り道に
ワイヤーを張るという悪戯をやったらしく被害者が出た。
あまりの惨状に夏祭りの楽しさは消えてしまった・・・。
そして被害者の子はあの浴衣をリサイクル市で購入して着た子だった。
そうだ、あの柄の違和感の理由がわかった・・・夏なのに椿の花。
【解説】
椿は冬から春にかけて咲く花。
なので、夏の浴衣の柄にするには、
季節感として合わない。
また、椿は不幸を連想させる花である。
椿は枯れたときに、首の部分が落ちてしまうため、
「死」をイメージさせてしまう。
そのため、お見舞いの花として持っていくにはタブーな花である。
被害者の子はワイヤーで被害を受けたようなので、
そのワイヤーで椿同様に首の部分が落ちてしまったのだろう。
送り主は呪いをかけてお向井の女の子に宛先不明で送ったのだろうが、
誰かわからないものを着る人などほとんどいないと思われる…。
しかし、今回のことで、
リサイクル市で購入した子が死んでしまった。
となると、お向かいの子は、
「私のせいだ…」
と罪の意識に苛まれるかもしれない…
もしかして、送り主はそれを見越して
宛先不明で送っていたのだろうか…