少女は後天的に片脚がなかった。
あるとき、少女のもとに神がやってきた。
「少女よ。そなたに脚を与えよう。好きなものを選びなさい」
そういうと、神は無数の脚を少女の前に並べた。
牛、馬、カエル、ブタ、カラス、羊、サイなど様々な脚があった。
散々探して、やっとのことで人間の脚を二本見つけた。
一本は毛むくじゃらの男の脚。
もう一本は可愛らしい少女の右脚そっくりの左脚。
少女は迷わずその脚を選んだ。
神は怪訝そうに
「それでよいのか?後悔はしないな?」
少女はニッコリと肯いた。
「少し時間が掛かる。晩まで待ちなさい」
そういうと、神は少女の前から消えた。
その日の夕食のとき、少女は泣いた。
【解説】
少女は選んだ脚を無い片脚に付けてもらえるものだと思っていたが、
夕食の食材として出された。
しかし…きっと料理は親が作っているのだろう。
少女の右脚そっくりの左脚は
親がどこからか入手してきたことになるのだが…?