残業明けですっかり午前様…
仕方なく私は滅多に使わないタクシーを呼び止めた。
運転手は無口で一言も喋らなかった。
そんな空気が苦手な私は何気ない会話を振ってみた。
私「景気はどうです?儲かってますか?」
運「いやいや、思っていたより稼ぎがありませんでした」
私「へー…」
運「だからアンタを乗せる事にしたんだ」
【解説】
『運「だからアンタを乗せる事にしたんだ」』
この言葉はタクシーの運転手として不適当な言葉。
稼ぐためならタクシーに乗せないといけないのだから。
『運転手は無口で一言も喋らなかった』
とあることから、
語り手は運転手に行先を聞かれていないことになる。
乗ってすぐに「○○まで!」と言ったのかもしれないが、
反応がないため、運転手からすれば
もしかしたら行先などどこでも良いのかもしれない。
タクシーの運転手ではなく、
『運「だからアンタを乗せる事にしたんだ」』
となると、どこか人気のないところに連れ込み、
金品強奪し、そのまま殺してしまおう、
という魂胆なのかもしれない。
運転手の振りをした強盗がタクシーを襲ってみたものの、
あまり稼ぎがなかった。
そのため、誰でもいいから強盗してやろう、と思ったのだろう。
そこで乗ってしまったのが語り手…。
『滅多に使わないタクシーを呼び止めた』
と、あまり乗らないにも関わらず、
たまたま乗ったこの時に限って強盗のタクシーに乗ってしまうとは…。
きっと語り手はどこに行ってもネタが舞い降りる、
そういう星の下に生まれてしまったのでしょうね。
これを読んで思い出したのが、
仮にタクシーの運転手が道を間違えたとしても、
それまでにかかったお金を請求されるということ。
(人によるのかもしれないが・・・)
友人がタクシーに乗った時、
見知らぬ場所だったため、
「○○まで!」と言って乗り込み、
「これで遅刻は免れる…」と考えていたら
着いた場所が名前の似ている全く別の場所だったのだとか。
で、急いで目的地に向かうように言ったのだが、
結局遅刻になり入れず。
しかも、ちゃっかり間違った道の分まで
請求されたんだとか。
遅刻で焦っていたから、
「ふざけるな!!」とは思ったものの、
言い合ってる時間もないから泣く泣く支払ったらしいが…
これも現実にある怖い話の一つかな、
なんて私は思ってしまう。