とある晩、携帯で友人に電話した。
「もしもし」
「はい」
「・・・えっ、お前○○(友人の名前)?」
「はあ?違うよ」
「あれ、間違えました、すいません」
「いや・・・(ガサゴソ)・・・うん、お前は悪くないよ」
ガチャ。ツーツー。
??????
翌日、テレビ見て思った。
ホントだ、俺、悪くなかった。
まあ、そりゃそうか。
【解説】
語り手は友人に電話をかけた。
『・・・えっ、お前○○(友人の名前)?』
『はあ?違うよ』
『あれ、間違えました、すいません』
『いや・・・(ガサゴソ)・・・うん、お前は悪くないよ』
から、友人ではない誰かが電話に出た。
『お前は悪くないよ』
というのは、間違っていないよ、という意味であろう。
『翌日、テレビ見て思った。
ホントだ、俺、悪くなかった。
まあ、そりゃそうか。』
ニュースを見て友人が殺害されたことを知った。
つまり、電話には別の人が出ただけで、
実際に自分は間違えてなかったと思ったのだろう。
しかし…『悪くないよ』という言葉が少し引っかかる。
殺されたのは自分の責任ではない、
自分は悪くない、という意味に感じてしまう。
しかし、文章だけだと語り手は関与していないと言えるのだが・・・。
それにしても、友人が殺されたというのに
非常にあっけらかんとしている語り手が怖いものである。