ある1人の黒髪長髪の少女が何者かに監禁された。
部屋には扉が1つと天井の真ん中辺りに大きな穴があいており、
壁は分厚い鉄で覆われている。
天井はとても高く、
穴からの脱出は無理なようだ。
扉は完全にロックされていて開かない。
ドンドン、ドンドン
少女「誰かー、助けてー……駄目だわ」
少女は必死に扉を叩き助けを呼んだが
誰も来る気配はない。
ガシャン
少女「きゃっ!?」
突然、天井の穴から何か落ちてきた。
少女「びっくりした~、なんなのよ一体………え?」
落ちてきたのは、
1本の日本刀だった。
少女「うそ……本物なの?」
少女が日本刀に触ろうとした時、
壁に文字が浮かび上がってきた。
今からお前にゲームをやって貰う。
~ルール~
とにかく 5 殺せ
(ゲームクリア後、あなたを自宅に帰してあげます)
以上
少女「こ、殺せ?
それにゲームってなんなの、訳がわかんない」
更に文字が浮かび上がる。
[間もなくゲームスタート]
『スタッ』
天井の穴から突然、
大型犬程の大きさの怪物が落ちてきた。
少女「ひぃ!?バ、バ、バケモノ」
怪物「ガァァァァ」
まだ状況が把握出来てない少女の事など構わず、
怪物は襲いかかる。
少女「ひぃ!!」
少女は側にあった日本刀をとっさに握った。
ズバッ
怪物「ギャン」
少女は怪物の攻撃をかわしたと同時に、
持っていた日本刀で怪物を斬った。
少女に斬られた怪物はその場に倒れ、
絶命した。
[自宅に転送まで・あと 4 殺せ]
少女「ハァハァ……
な、なんで私あんなバケモノに勝てたのかしら」
しかし、
間髪入れずに2体目の怪物が穴から落ちてきた。
少女「わっ!!」
怪物「ギャルルルル」
怪物はすぐに少女を襲うが、
少女はサッと紙一重でそれをかわし、
すぐに怪物を斬った。
その瞬間少女は気付いた。
自分に戦いの才能が隠されていたことを。
[自宅に転送まで・あと 3 殺せ]
(少女)「……帰れる、これなら家に帰れる」
少女は日本刀を構えて次の怪物に備える。
スタッ
次に落ちてきたのは白髪の少年だった。
白髪の少年の目は血走っており、
口の周りに黒い粉のようなものが付いている。
少女は一瞬戸惑ったが、
白髪の少年が普通の人では無いとすぐに気付くと
瞬時に身構えた。
白髪の少年「あー腹減ったぁ…………ガァーー」
白髪の少年は、
小さい声でそう呟いた瞬間、
急に少女に噛み付こうと襲いかかってきた。
少女「遅い!!」
ズバッ
白髪の少年が少女に噛みつこうとする直前、
少女は刀を振り上げ白髪の少年の首を両断した。
ドサリ
[自宅に転送まで・あと 2 殺せ]
少女「ハァハァ、今の人も怪物なの?…………キャッ!!」
絶命した白髪の少年の体が突然、
ボロボロに崩れてゆき黒い灰になった。
周りをよく見ると、
殺した他の怪物も黒い灰になっていた。
少女「な、何なの?
…………とにかく今は残りの怪物を倒さないと」
少女は次の戦いに備えて身構えた。
…………………………
しかし、もう天井の穴から
怪物は落ちて来ることは無かった………。
あれから4日後。
[自宅に転送まで・あと 2 殺せ]
いまだに、天井からは怪物どころか何も落ちてこない。
少女「お腹……すいた」
空腹のあまり黒い灰を口にしてしまったが、
少女の空腹は収まらない。
ドンドン
当然、扉が叩かれる音がした。
ガチャガチャ
少女は扉に行きドアノブを回してみるが、
扉は開かない。
どうやら扉はまだロックされているみたいだ。
扉から漏れる声「ん?誰かいるのか?
おーい……駄目だ返事がない」
若い男の声だ、
微かに女性の声も聞こえて来る。
扉から僅かに漏れる声を聞く限り、
向こうの部屋には2人ほど監禁されているようだ。
すると、急に壁に文字が浮かび上がってきた。
[今から扉のロックが外れます]
『カチン』
扉からロックが解除された音を聞いた少女は
すぐに扉に向かおうとしたが、
日本刀が無いことに気付いた少女は
日本刀を探し始めた。
少女「…………あった」
どうやら残っていた黒い灰に埋もれていたみたいだ。
一分ほどで日本刀を探しだした少女は、
扉に近づくとドアノブを回し扉をゆっくりと引いた。
ガチャ
ギィィィィィィ
美しい純白の長い髪をした少女は
隣の部屋へと進んで行く。
少女「お腹すいた…………」
…………数分後壁にはこう表示された。
[自宅に転送まで・あと 0 殺せ]
ゲームクリアです。
今からあなたを自宅へ転送してあげます。
【解説】
語り手である少女は怪物の亡骸である黒い灰を食べてしまい、
白髪の化け物になってしまった。
(白髪の少年も同様に怪物化した元人間)
そして、扉の向こうにいた少年たちは、
怪物化した空腹の少女に食べられてしまった。
その後カウントが2から0になり、
少女は自宅へと転送されるが…
怪物化したままの状態なので、
自宅に戻ってから悲劇が起こるだろう…。
ちなみにこの怪物になった語り手の少女は
以前に書いた『死の部屋探しゲーム』の怪人である。