「…ふう!
これで世界中の子供たちに配るプレゼントは全部かな」
男は目の前の大きな白い袋を満足げに叩いた。
「さあ、ルドルフ、行くよ!
早く子供たちの喜ぶ顔を見に行こう!」
シャンシャンシャン… シャンシャンシャン…
そりを引くトナカイが優雅に夜空をかけると、
心地よいベルの音が響き渡る。
赤い服、赤い帽子、
あたたかそうなブーツに身を包んだ白ひげの男は、
眠っている子供たちの家に、
綺麗にラッピングされたプレゼントを届けて行く。
「よし!これが最後の一件だ。
喜んでもらえるといいね!」
シャンシャンシャン…
ホウ、ホウ、ホウ!メリークリスマス!
輝くそりは夜空の彼方へと見えなくなっていきました。
「わあっ、パパ!見て見て!
僕が欲しいと思っていたおもちゃが届いてるよ!」
「よかったな。
サンタさんからの贈り物だから、大事に使うんだよ」
「うん!」
町中、自分の欲しかったプレゼントを手に入れ、
大喜びの子供たちと、
それをほほえましそうに見守る両親でいっぱい。
これは、とある素敵な素敵なクリスマスのお話…
「そういえば、トムのやつ今年は帰省しないのか?」
「ええ、なんでも北欧の方に出張ですって」
「そりゃこの時期、あんな寒い地域にご苦労なこったなぁ」
「職場でご不幸があったみたいなのよ。
それでトムが出張することになったんですって」
「まあ若いうちは忙しくしておくもんさ。
数年前、いい義足職人さんに出会ってから、
あいつもいきいきしてるからなぁ…
親としては、それが何より嬉しいことだ」
【解説】
名前がトム。
状況設定がクリスマス。
義足職人に出会ってからいきいきしている。
これらからこのトムは
意味怖で有名な『トムとサンタクロース』のトム。
トムはサンタに復讐し、
そして、トム自身がサンタになって
自分のように惨めな思いをする子供がいないよう、
子供が欲しがっていたプレゼントを準備し回っている。