【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】置き傘

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最近の天気予報はあてにならない。

 

今日も、一日晴れだと言ってたくせに、
夕方にはこの大降りである。

 

駅から家まで徒歩で10分ほどあるので、
普通に帰ればびしょ濡れだろう。

 

暗い空を見上げて溜め息をつき、
ふと駅の傘立てを見た。

 

そこには、
一本の青い水玉模様の傘が立っていた。

 

地獄に仏とはこの事か。

 

俺は迷いなくその傘を差して、
家へと歩きだした。

 

あんな防犯性の無い傘立てに置いてるくらいだ。

 

取られるのも覚悟の上だろうさ。

 

そんなことを思いながら歩いていると、
コンビニの前で声を掛けられた。

 

「すいません、その傘に入れてもらっていいでしょうか?」

 

見ると、
一人の女性がコンビニ前で雨宿りしていた。

 

長い黒髪でやや俯いているため、
目元はよく見えない。

 

割と美人だったので、
俺は快く受け入れた。

 

聞くと、彼女はどうやら
俺の家の近くに住んでいるらしい。

 

俺の家の前に着くと、
彼女はお辞儀をして雨の中へと走っていった。

 

玄関口で軽く傘の雨滴を払い、
そのうち駅に返しに行こうと傘立てに差した。

 


二日後、
またしても予報士は外してくれた。

 

曇りはするが雨は降らない、なんて抜かして、
思いっきりどしゃ降りじゃないか。

 

徒歩10分だがタクシーでも呼ぼうか、
などと思いながら何気なく傘立てを見た。

 

そこには、
また水玉模様の傘が一本取り残されていた。

 

この間借りた傘はまだ返しに来てない。

 

盗られた人がまた懲りずに置いていったのだろう。

 

悪いが今日も使わせてもらおうかな。

 

白地に青の傘を差し、駅を出る。

 

するとまたコンビニの前で声を掛けられた。

 

この前と同じ女性だ。

 

この雨だと二人入ると半身が濡れそうだったが、
置いていくのも酷なので入れてあげた。

 

前と同じく、
女性は俺の家の前で別れ、
走り去っていった。

 

彼女もあの予報士による犠牲者なんだろうな。

 

ウチの傘立てに同じ傘が並んだ。

 


翌日、今日は朝から雨だったが、
帰りに電車の中に傘を忘れてきてしまった。

 

駅員さんに聞くと、
俺の乗った電車がこの駅に戻ってくるのは1時間半後らしい。

 

駅構内でそんなに時間を潰すのも馬鹿らしいし、
濡れて帰るか。

 

そう思いながら、
癖のように傘立てを見る。

 

またあの傘だ。

 

二度あることは三度ある、ってか。

この傘の持ち主はボランティアでこんなことやってんのかな。

 

まぁいつもの様に借りさせてもらいましょう。

 

シトシトと雨を降らす曇天に傘を向けて差し、歩きだす。

 

するとまたまたコンビニ前で呼び止められた。

 

またあの女性だ。

 

もはや顔見知りみたいなものだし、
いつも通り傘に入れてあげた。

 

ウチの傘立てに、
水玉模様の傘が三本になった。

 


翌日の朝、今日も一日中雨だ。

 

駅に俺の傘が届けられている、
という連絡が昨晩来ている。

 

どうせだし、
この三本の傘を駅の傘立てに返しておこう。

 

しかしこの傘、
駅前以外でも最近どこかで見たんだよなぁ……

 


その日の帰り、
俺は傘を差して帰ろうとした時、
もはや習慣のように傘立てを見ていた。

 

朝三本置いたはずの傘が、
一本だけになっている。

 

どういうことだ?
やはり一本は元々置き傘なのか?

 

なんとなく傘立てに近付き、
その傘の柄を握った時、
俺は思い出した。

 

そうだ……この傘……たしかコンビニの傘立てにも……

 

俺は急に寒気を感じ、
自分の傘を差して走りだした。

 

そしてコンビニ前を横切る時、
俺は見てしまった。

 


青い水玉模様の傘を差す、
あの女性の不気味な笑顔を……

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

語り手が駅に行くと、

必ず傘立てに同じ傘が置いてあり、

コンビニ前には女性が立っている。

 

そして、

コンビニの傘立てにも

同じ傘が置いてあった。

 

女性はストーカーであり、

語り手が傘を盗らずに濡れて帰っている場合は

コンビニに置いてある傘で

語り手を入れてあげるためだった。

 

 

語り手は最後に自分の傘を使っている。

 

語り手が傘を使っているのだから、

ストーカーの女性は

自分の傘を使わず、

入れてもらうという選択肢になるはず。

 

にもかかわらず、

青い水玉模様の傘を使っていた。

 

語り手に好意を持っていたわけではなく、

恐怖を与えるためにやっていたのだろうか?

なんて考えてしまう。