俺は所謂ヤミ金ってやつを生業としている。
あまり褒められた職ではないがこちらも仕事だ、
情けをかけてる余裕なんざない。
今も金を借りといて返さない輩がいやがるから
ちょっくら催促するか。
「オイテメー、人様に金借りといて返さないたぁどういう了見だ?あ?
小指とお別れしたくなかったら来週までに耳揃えて持ってこいや。
いいな?」
―翌週―
金を借りてた男が俺のもとを訪れた。
脅しが効いたのかやっと返す気になったみてーだな。
「これでよろしいんでしょうか…」
男に手の平サイズの小箱を渡された。
「あぁん?何が入ってるってんだよ」
「小指を切られるよりは幾分かマシだと思いまして…」
【解説】
男は耳を切り落として
耳を揃えて持ってきた。
想像するだけでも痛々しいが、
「耳なんかいらんからはよ金返せや」
なんてことになりそうなのが怖い。
小指よりも耳を選んだのに
耳を切り落としたのは
ただの無駄だったということに…。