【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】見えない

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私は3年前の事故から
目が見えません。

 

ゆえに目の前で起きることは
真実であっても
真実になりえません。

 


そんな私を介護してくれる妻は
私が最も信頼する人間です。

 

他の家族はみな死にました。

 

父母は2年前相次いで
寿命でこの世を去り、
息子もその年
事故で亡くなりました。

 

私は悲しみに暮れましたが
妻がいたから立ち直り、
妻がいたから今の私がいます。

 


私は妻以外は誰も信用しません、
誰も信用できません。

 

こんな私を見捨てないで
傍にいてくれる妻に
私が死んだときすべての財産を
譲ろうと決めています。

 

もう長くない命、
私が死んだあとに彼女が
苦労しないように。

 

そんな妻は2年前から毎日のように私に

 

「私のこと愛してる?」
「私のこと好き?」

 

と仕切りなしにこう尋ねます。

 

無理もない、早くに彼女も
両親を亡くしているので
私だけが頼りなのだろう。

 

そしていつものように
私はこう答えます。

 

「愛してるよ」と。

 


3年前の妻の顔を思い浮かべながら、
「愛してるよ」…と。

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

語り手が妻だと思っているのは

実は妻ではなく、

父母や息子、そして妻を殺した者だった。

 

2年前に相次いで亡くなったとされているのは

一緒の時期に殺されてしまったから。

 

犯人は妻になりすまして

自分に財産が入ることを確認するために

『愛してる?』

と聞いている。

 

声でわかりそうなものだが、

目で見えていないから

声が違っていたところで

確証が持てなかったのだろう。

 

『私は妻以外は誰も信用しません、
誰も信用できません』

と言っているくらいだから、

妻がいなくなったと考えるよりも

少しくらい声が違っていてもこれは妻である、

と信じた方が精神的に楽なため

そう思い込んでいるのもあるだろう。

 

 

家族はすべて、

いま妻を演じている殺人犯に殺されてしまったが、

財産のために語り手に優しく接している。

 

このまま事実を知らなければ

語り手は幸せな人生のまま終えるのだろう…。