「ねぇ、こんな噂話知ってる?
携帯にね知らない番号からかかってくることはたまにあるかもしれないけど、
もしそこで携帯を開いて受信画面を見たとき、
画面が全く身に覚えがない画像だったら注意したほうがいいよ。
もしその電話に出たら、うしろからナイフでズバッって頭を刺されて殺されるらしいよ。
どうやらね、頭がおかしいハッカーが携帯をハックして、
相手の受信画面をすり替えて、相手が電話をとった瞬間を見計らって殺すらしいのよ」
「なんかそれ支離滅裂してね?
どうやって携帯の受信画面をハックすんだよ~?
だいだい電話取る瞬間に刺されるんだろ?
だったら犯人はすぐ後ろで電話かけながらスタンバってることになるじゃん、
ありえないだろうそれ~」
「いいじゃん、ただの噂話なんだから。
私だって聞いただけだし~。
じゃあそろそろバイトだから切るね~」
「おう、わかったじゃあな」
ブッ、ツーツーツー
「どんな噂話だよ、根本的にありえないじゃないか」
プルルルルプルルルルル
「お、電話だ」
パカっ
プルルルルルプルルルル
「…おい」
プルルルルルプルルルル
「何の冗談だよ?
この番号誰だよ…。
いやそれより何だこの画面」
「銀色の尖ったもんに赤の斑点がポツポツついてるように見えるな…」
プルルルルルプルルルル
「ここは俺の部屋だから誰もいるわけないし、
まあ大丈夫だよな」
プルルルルルルプルルルルルル
ピィ
「もしもし?」
ズン!!……ドサ!!
「お疲れ様です、長岡刑事」
「おお、お疲れ。これが今回の被害者か…」
「そうですね、被害者は午後六時から七時頃、
何者かによって右側頭部を長さ30cm以上の刃物みたいなものに一突きされた様です。
被害者が争った形跡が無いので知人の犯行か、
もしくは犯人の犯行に気づかずに突然やられてた可能性があります」
「ん?このガイシャさん右手に違和感あるけど、
何かもってたの?」
「はい、携帯を持っていました」
「じゃあ犯行時電話か何かしてたのか?」
「そうみたいです。
被害者は犯行起きるに前に電話していたんですが…。
少し妙なんです」
「何が?」
「いや、それがその被害者の携帯で最後の電話相手を調べようと、電話したんですが…
その電話番号現在誰も使ってないんですよ…」
「はぁ?どういうこった?」
「わかりません、
更に奇妙なのがどうやら現在使われてない番号から着信がきてるんですよ」
「一体どこの誰と電話したんかね…この被害者は…。
そういえば右側頭部って言ってたけどこれは耳の上から突かれてるな…」
「はぁ、そうみたいですね」
「ますます妙な事件だな…」
「はい」
「って、俺が言いたいことわかってるのかお前は?」
【解説】
『耳の上から突かれてる』
つまり、携帯電話から
長さ30cm以上の刃物みたいなものが出てきて、
それに突き刺されて死んでしまった。
最初の電話に関しても
仲が良さそうに話しているものの
使われていない電話番号で
一体何者だったのかわからない。
一体どうやって関わりを持ったのだろうか?
それにしても、
よくこの状況で知らない番号からの着信を
受け取る気になったなぁ…
こんな状況で知らない番号から電話がかかってきたら
絶対に取りたくないのだが…