若き芸術家は悩んでいた。
数ある作品を世に出してきたが
どれも満足する作品を作ることは
出来ていなかった。
リアリティーが足りない…
よりリアルを求めると駄目になる。
ある日気分転換に街にでた彼は、
ある物を見つけた。
これは…動物の…
彼は脳内に衝撃が走った。
急いで家へと帰り息があがる中
妻へこう切り出した。
モデルになってくれないか…
数ヵ月後
記者:この度は国王賞おめでとうございます。
私も拝見しましたが素晴らしい作品ですね。
貴方の奥様をモデルにした作品のようですが
作品を作り始めた頃からその奥様が行方知れずとか…
どちらに行かれたのでしょうか…
芸術家:…そこにいますよ。それより貴方モデルに…
なりませんか?
【解説】
若き芸術家が町で見たものは
動物の剥製であった。
生きているかのようなリアリティーがある剥製は
若き芸術家の求めているものと合致したのだろう。
すぐに妻にモデルを頼み、
妻自身を剥製として作り上げた。
そして、今度は記者が狙われている…
若き芸術家としたら作品が全てなのだろうか…
となると、
人を剥製にすることに
心を傷めることはないだろう。
作品のためならどんなことでもする
この若き芸術家は本当に恐ろしい…
しかし、そこまでのこだわりがないと
アーティストとしてやっていけないのかもしれない…